説明的な台詞ではなく
 生きている人物たちの行動と葛藤を大切に

 本大会は、全体にやや低調という印象だった。  
前回の大会はレベルが高かったので、そう感じたのかもしれない。
ここ数年の大阪の入試事情から、3年生が秋の大会には出演しない学校が
増えているせいという声もある。そうだとすればとても残念なことである。

 
 芸術の採点は、難しい。スポーツのように誰が見ても明らかというわけ
ではない。審査員が変われば、異なる結果になるか もしれない。
いずれにせよ、結果は結果。その結果をどう受け止めるのか。 反省点があ
れば悔やむのではなく、次の作品づくりに生かしてほしい。おもうような
結果でなくても、前向きにとらえてほしい。
結果より今日まで積み重ねてきた経験を大切にしてほしい。

【戯曲に関して】
・全体に、できごとや事件がおこっていない。
・設定ではなく、舞台上で何かが起こることが必要。
・友人の心情のぶつかりあいが多く描かれたが、言葉に頼った説明的な台詞が多く、気持ちや感情を台詞で説明している
 劇が多い。
・登場人物の人となりは舞台上での「行動」で伝えるべき。台詞で伝えようとするから説明的になり、その結果、ひどい
 場合は討論会のような退屈な劇になってしまうのです。
・もっと言葉をけずれないか、言葉ではなく行動で気持ちを伝えられないか考えてほしい。  
・使う言葉には具体性がほしい。 例えば、「スーパー」よりは「イオン」、「ドラマ」より「○○」 ( ドラマの具体名 )
・テーマが分裂している台本がある。何が問題だったのかわからなくなる。
・劇の始まりは、「いつ、どこで、誰が」が早く観客に伝わるように意識しよう。台本を見ていないとわからないものが
 ある。 舞台上に何もセットがない場合はなお更である。

【スタッフワークに関して】
・全体にSEやBGMが大きすぎて台詞が聞こえない。特に、幕開きの音楽で台詞が聞こえなかったり、山場での音楽が
 大切な台詞  を消してしまう。効果を高めたいとの思いはわかるが逆効果。BGMはかすかに聞こえているだけで十
 分な場合が多い。
・入退場のとき、袖幕にさわらない。
・暗転が多い。特に、場転を減らす工夫をしよう。 
・空間の使い方を考えよう。横長の舞台なので、横は思いきって狭くする。縦は高低差をつけるなど。
・袖幕の奥には何があるのか。きちんと決めて共有しておこう。<br> <br>


【演技】
・日常見ているもの、感じているものを忘れないように。 例えば怒ったとき、声をかけられたとき、自分はどう動くのか。
 どう感じるのか。これは異世界でも同じ。
・以前に比べて、発信する力は確実に強くなった。観客に届く。 しかし、受信するときがまだ弱い。
 リアクション、受ける側演技をもっと大切にしよう。
・この台詞で何かを届けるのか、この台詞を聞くことで何を受け取ったのかをしっかりと考えることが大切です。
・舞台の立ち姿も意識する。きちんとした姿勢で台詞を届ける。猫背など論外。  (閉会式での講評より)


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最優秀賞は桜宮中(大阪市)・阪南中(大阪市)が獲得      

審査の結果、最優秀大阪府知事賞は桜宮中演劇部が、最優秀朝日放送賞は阪南中演劇部が受賞しました。
今回、特筆すべきことは、両校とも、生徒たちが議論を重ねて集団で脚本を書き、演出も生徒が
中心となって劇を完成させたということです。顧問の先生の的確な指導のもと、演劇部員が力を
合わせて取り組んだ劇づくりが、このような優れた作品を生み出したのだと思います。
 
 その他の受賞校は下の「審査結果一覧」↓をご覧ください。


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   最優秀府知事賞
「 満点と75点 」

   桜宮中学校 演劇部   作/演出:演劇部

桜宮中「満点と75点」
  桜宮中演劇部「満点と75点」の一場面

 
 「彩花なんかいなくなればいいのに!」。思わず漏らした姉・英里の心無い言葉。いつでも何でも、家の中心は妹の彩花。妹が難病で苦しんでいるのはわかってるけど、母には彩花しかしか見えておらず、自分の存在が無視されているように思えてならないのだ。
 そんな英里に、母は妹の死期が迫っていることを告げる。

姉、妹、母のそれぞれの思いや立場が繊細かつ丁寧に描かれていて、表面的な悲劇になりがちな題材にリアリティが生まれた。

母の好演を中心に気持ちのこもった演技が観客の心をゆり動かす。きちんと相手に向き合う姿勢や、「間」と「沈黙」をしっかり意識しての演技が強く観客を引き付けていた。

 洗濯物などをはじめとする置き物や舞台セットが季節感や生活感をよく表現していた。


阪南中「自転車のタイヤがよくパンクする夜は」
   阪南中演劇部「自転車のタイヤがよくパンクする夜は」の一場面

  最優秀朝日放送賞
「自転車のタイヤがよくパンクする夜は」

 阪南中学校 演劇部   作:米沢秀典 演出:演劇部

 妹の小夜は新しい母を受け入れようとしているが、姉の優美はまだわだかまりを捨て切れないでいる。公園を舞台に、新しい母と暮すこととなった姉妹の繊細な動揺と変化がていねいに描かれていく。タイヤのパンクが実は母の死んだ原因と関連があったことや、継母と似た新しい連れ子の妹など、さまざまな伏線が張られていて作品の構造に厚みを感じさせる。

 涼子のカンニング依頼を断れなかった優美と、200m走での不正依頼を断った小夜。理不尽なことを断る小夜の強さが新しい母を受け入れる強さに繋がっていく。触発された優美が新しい母と向き合おうとするラストは美しく納得がいくが、すぐ「お母さーん」と呼
びかけるのは本当か?と思ってしまう。

演技は的確、発声もゆったりと聞きとりやすかったが、やや単調な展開になったのが惜しい。


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第134回 大阪府中学生演劇祭 審査結果

受 賞 内 容 受 賞 校 受 賞 作 品 名
 最 優 秀 賞 (大阪府知事賞)  大阪市立 桜宮中学校  満点と75点
 最 優 秀 賞 (朝日放送賞)  大阪市立 阪南中学校  自転車のタイヤがよくパンクする夜は…
 優 秀 一 席 (大阪府会議長賞)  私立   清風南海中学校  タイム缶
 優 秀 二 席 (大阪府教委賞)  大阪市立 城東中学校  隠しごと
 優 秀 三 席 (日本教育新聞社賞)  松原市立 松原第七中学校  100パーセント
 優  良  賞 (朝日放送賞)  私立   清教学園中学校  北極星
 優  良  賞 (日本教育新聞社賞)  大阪市立 旭東中学校  プールの幽霊
 優  良  賞   (演劇協会賞)
            上演順
 茨木市立 養精中学校  一歩踏み出す勇気が欲しい
 大阪市立 住吉中学校  私たちの自由
 私立   プール学院中学校  演劇部ヒロイン列伝
 私立   関西創価中学校  寂しがりやな流星群
 佳  良  賞   (演劇協会賞)
            上演順
 八尾市立 曙川南中学校  WSトマト事務 ~前に進むために~
 八尾市立 高美中学校  親友の条件
 箕面市立 第三中学校  空色の色
 大阪市立 緑中学校  約束
 戯  曲  賞    該当作品なし .


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