連帯と協調が試される「卒業公演」

 

  劇くりは脚本づくりから

脚本作り1
脚本づくりの相談は食後や休憩時間におこなわれます

脚本作り2
限られた時間の中、劇づくりの話し合いは真剣そのものです

夏季学校 初日
この日の講座が終了すると「集団創作」の説明があり、各座は3日目夜の卒業公演までに劇を完成させるよう求められました。
劇づくりにあたってはコミックやアニメなどの焼き直しや、全能の神が問題を解決してしまうようなパターンはできるだけ避けること、大人のまね事でなく、日常の暮らしの中に素材を求め、豊かな表現方法を工夫して内容豊かなドラマに仕上げましょう、と呼びかけがありました。さあ、いよいよ、今夜から劇づくりの始まりです。

脚本作り5
  談話室での話し合い。劇づくりは座長のリードで進められます。

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 風呂場前のギャラリーでも話し合い

夏季学校2日目 朝

この日は、朝から講座や実習がぎっしりつまっているので、相談は食後や休憩時間などに、寸暇を惜しんで取り組まなければなりません。
相談はプレーホ―ルで、大浴場前のギャラリーで、談話室でと、思い思いの場所    
を選んで進められています。

「テーマは?」「訴えたいことは?」「登場人物は?」「悩みごとは?」。  話し合いは、座長の問いかけから始まります。
なかなか意見が出ない座がある一方、いきなりストーリーや登場人物など具体的な提案が出てくる座、さまざまな意見が
いっぱい出てきて収拾がつかなくなっている座もあるようです。
座長は座員の意見をまとめ、脚本に仕上げていかなければならないから大変です。

夏季学校2日目 夕食後

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 パソコンで脚本を書いているOBOG座

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OBOG座は裏方の仕事も担当するので大変です

夕食後の集会で、劇づくりの進行状況が尋ねられ、各座から劇づくりの現状が報告されました。全くはかどっていない座、ストーリーが決まり、これから書き始めますという座、すでに脚本を書き始めている座などいろいろ。
この段階で脚本が来上がった座はまだありませんでした。


夏季学校での劇づくりは、誰の力も借りず、自分たちの力だけで完成させるのが建て前です。
進んでる座の報告は大きなプレッシャーですが、気持ちを奮い立たせてもくれます。
これをきっかけにして、議論ばかりで前に進めなかった座も、まとめる方向に向かっていきます。
寄せ集め集団に過ぎなかった座に、連帯・団結・協調の意識が生まれ始めていきます。
こうして、脚本作りが本格化し、劇づくりは熱を帯び始めます。 さあ、今夜はがんばるぞ!


脚本完成!! さあ、練習始めるで!

読み合わせ!
 脚本が完成し、読み合わせが始まりました     

夏季学校3日目 朝
「合宿」という非日常に加えて、他校生と寝食を共にした活動なのでいやでもテンションがあがり、思わぬトラブルも起こります。 張りきりすぎて空回りしたり、気を使って消極的になってしまったり、議論が高じて脚本作りがストップしてしまうことも起こります。
でも、そんな緊張を乗り越え、昨夜の内に8座の内5座で脚本が完成しました。残りの座も完成寸前までこぎつけています。
朝食をとりながらセリフを覚えている座があります。
それを見て、焦りまくってる座もあります。


この日は講座も実習もないので、一日中、ひたすら劇づくりに集中できます。
脚本が完成した座では、さっそく練習が始まりました。 脚本はまだまだ推敲したいけど稽古しながら書き直していきます。

立稽古1
座長がリードする座、協議しながら練習する座、いろいろです

立稽古2 width=
  ときには、演出のダメ出しをめぐって議論が起こります

 本読み → 読み合わせと、順序を踏む座がある一方、いきなり脚本を持ちながら立稽古に入る座もあります。
昨夜悩んでいた人も、泣いていた人も、出来あがったばかりの脚本を片手に気を取り直して稽古に励んでます。 (Q)




夏季学校3日目
 午後


   先生座の立稽古。順調に進んでいるようです


        脚本を持っての通し稽古

午後からは、プレイホールの仮設舞台を使っての「通し稽古」のために、各座に20分ずつの時間が割当てられました。
順番が回って来るまでは、ロビーや談話室などで練習です。
午後になってやっと台本読みを始めた座や、必要な小道具を身の回りにあるものを工夫して作っている座など、各座の進捗状況には差がありましたが、どの座にも共通していたのは前向きで真剣な一人一人の眼差しでした。


 早くに脚本を完成させたこの座、立稽古も順調なようです

食堂前での夕食の待ち時間に一部の座長へ本番直前の心境をインタビューしてみました。ほんの一部ですが紹介します。

ーーここまでの座の取り組みを振り返ってひと言。
「座長自身が体調を崩してしまったのですが、2年生がよくがんばってくれたので助かりました」(安田座)

ーーこれまでで大変だったことは何?
「1日目の夜に、どんな話にするのか意見をまとめるのに一番苦労しました。2日目の昼には台本がひととおり完成しましたが、そこから清書や仕上げに思ったより時間がかかりました」(中野座)
――これまでで印象に残っていることは?
「昨晩、意見をまとめるのに遅くまで時間がかかり、苦労したことです」(大石座)

各座の苦闘をサポートしているOBOGも、自分たちの座による作品づくりにとりくみました。
中学生のサポートをしながらのすきま時間を使っての練習は、インタビューを試みようという
こちらの気持ちが吹き飛ぶような、独特の厳しさと楽しさを感じるものでした。

卒業公演まであとわずか! 
みんなの目の色が変わってきました。 どんな劇出来上がるのか、楽しみです!  (武田)

 午後7時、いよいよ卒業公演の開幕です!

卒業公漁E?Eログラム
     卒業公演 プログラム

夏季学校3日目 
プレーホール(体育館)が、緊張と熱気に包まれています。
いよいよ座ごとに創作した劇の発表ー卒業公演です。

今回の「集団創作_劇づくり」では舞台の奥行きを生かした人物の動き」を追求することが課題のひとつに設定されています。これは、大阪府中学生演劇祭の舞台の奥行が狭いため、最近の演劇祭では人物の動きが左右に偏った劇が多くなってきていることから設定されました。  
この課題設定を受けて、OBOGたちが舞台の奥行きを大きくとり、前後にも動きやすい舞台を設営してくれました。


卒業公演_寄田座
  寄田座「 蝉 」

卒業公演_牧瀬座
  牧瀬座「夏季学校にて」

午後7時、緊張と不安の中、プログラム1番、牧瀬座の劇「夏季学校にて」から卒業公演が始まりました。

上演された劇のテーマは、兄弟や家族の問題、部活や友人関係、いじめ問題などさまざま。演劇部はどこも女子が多く男子が少ないので、それが反映して今回の座の構成も女子7~8人に対し、男子は1人か2人。それを逆に活かした恋愛ものも多く見られました。

卒業公演_安田座
  安田座「だいっきらい!」

卒業公演_中野座
  中野座「音と感覚」

印象的な幕開きを工夫した座、生徒間の微妙な人間関係を深く掘り下げて描いた座、伏線を張り、ラストでその意味が分かるという巧みな構成を考えた座など、どれも中学生のリアルな感覚が表れていて、よくこんな劇が作れるなあと、中学生たちの力に脱帽でした。





卒業公演_溝口座
        溝口座「伝ーつたえたい」

卒業公演_大石座
      大石座「直線トライアングル」

今回の課題「奥行きのある人物の動き」については、どの座の劇にも努力のあとが見られました。中には図書館の机や棚が奥へと並んでいることにして、机を並べたり、パントマイムで棚を表現して奥行きを活かそうとした座もありました。 全体として工夫と努力のあとが見られましたが、奥行きを意識するあまり無理な人物配置や不自然な動きも見られるなど、まだまだ多くの課題を残しました。


卒業公演_小野座
  小野座「修学旅行」

卒業公演_福井座
               福井座「目安箱」

実質2日で、ゼロから劇を作るのですから、練習時間が十分に取れるはずがありません。 台詞を飛ばしてしまうこともありましたが、アドリブでつなぐなど、劇が止まることもなく、すべての座が幕を降ろすまでやり遂げました。

発表が終わって緊張が解けた座も、これから舞台に出て行く興奮を宿した座も、一緒に体育館のフロアに座って、最後まで発表を真剣に見守っていました。

中学生たちの上演が終わった後は、高校生のOBOG座と大学生以上のOBOG座、そして先生座の発表です。

OBOG宮元座「大人行きバス」
  OBOG宮元座「大人行きバス」

村上座 「それでも世界は回ってる」
村上座「それでも世界は回ってる」

OBOGは、全座の照明や効果など裏方の打ち合わせから本番の操作まで引き受けていたのに、
いつの間にこんなに素晴らしい台本、劇を作ったのかと思わせる出来でした。瑞々しく鋭い感性が光り、若者にしか書けない台詞に心をつかまれました、自分の感じていることをこうして表現できる方法を持つ人は幸せだと感じました。


村上座 「母」
                   先生座「母」

  短い時間で、初めて出会った他校生と劇作るのですから大変なこともあります。
でも、しんどいことをした人だけが、その分大きな感動を得ることができると実感できるのが、この卒業公演ではないでしょうか。 演劇に取り組む中学生たちが、表現する術を身に付けて、のびのびと自己表現していけるように成長することを願いながら……。
本当に実り多い夜でした。                                (夏季学校初参加の清水記) 






上演を終わって
                  燃え尽きて……

終演後、緊張から解放された中学生たちは、達成感に満たされながら、
ともに頑張った仲間たちと健闘を称え合いました。

  



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